丸い形に、福岡が詰まっている。/鈴乃〇餅・鈴懸(福岡・博多)

手みやげ帖

福岡に住んでいたころ、鈴懸の鈴乃〇餅(すずのえんもち)は身近なお菓子だった。誰かの手土産に、自分へのご褒美に。かごに入った姿が、なんとも品よくて。

大阪に来てから、ふと思い出すことがある。

小ぶりの、丸いかたち。しっとりもっちりした皮は、割るとほんの少し伸びる。中のつぶ餡は、甘すぎず、ちょうどいい。ひとつ食べると、もうひとつ手が伸びてしまう。どら焼きと呼んでいいのか迷うくらい、あれはあれで唯一の食べ物だと思う。

福岡のお土産はいろいろあるけれど、30代だった自分には、鈴懸のあの店が特別だった。無駄をそぎ落とした、直線的なデザイン。凛とした佇まいに、いつも惹かれていた。

大阪には実店舗がない。一度、催事に来ていると知って向かったけれど、行列があまりに長くて、その日はあきらめてしまった。それでも並ぶ人がいるのだと、なんだか嬉しくなった。

鈴乃〇餅は日持ちがしない。だから取り寄せもできず、買えるのはお店だけ。

美味しさはきっと、どこで売っていても変わらない。でも一度は、あのお店を訪れて、その空気ごと体験してほしい。


基本情報
鈴懸(すずかけ)
本店:福岡県福岡市博多区
公式サイト:鈴懸公式サイト

福岡へ行く機会があれば、必ず寄りたいお店。

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